アメリカで出産した場合、日本とアメリカで手続きが必要です。
・ 出産前の準備は?
・ 産後の手続きは?
・ 出生届とパスポートの申請方法と期日は?
・ 日本の補助金は受け取れるの?
など、気になると思います。
筆者は2022年夏にハワイ州で出産しました。現在はパートナーのビジネス・ビザの配偶者としてハワイに帯同していますが、今後、夫婦ともに日本に帰国する可能性もあります。そこで赤ちゃんはアメリカと日本の二カ国の国籍を申請したくて、手続きを進めました。
このブログ記事では、ハワイ州で出産した体験を元に、アメリカと日本で必要な手続き(出生届・パスポート・保険・出産育児一時金)についてまとめています。
※2022年9月時点の情報です。手続きは最新情報をご確認ください。
アメリカと日本で産後に必要な手続き一覧
アメリカと日本で必要な手続きは次の通り。
1. アメリカ・日本
1-1. 出生届の提出
1-2. パスポートの取得
1-3. 保険加入
2. アメリカだけ
2-1. SSN取得
2-2. 出生証明書(Birth Certificate)の取り寄せ
3. 日本だけ
3-1. 出産育児一時金の申請 *希望者
出生届、パスポート、保険加入は、アメリカと日本の両方で申請が必要です。
次の章から解説していきます。
アメリカで出産前に必要な準備
はじめに、出産前に準備しておいた方が良いことが2つあります。
① ホノルル領事館から出生届を取り寄せる
② 赤ちゃんの名前を決めておく
以下、解説します。
① 日本の出生届を取り寄せる
出産前に領事館から日本の出生届を取り寄せます。
産後に取り寄せることもできますが、赤ちゃんのケアでそれどころではないので、先に取り寄せると良いでしょう。
手順は以下のとおり。
① 領事館サイトから手続きシートをダウンロード
② 出生届にチェックを入れて領事館へ郵送
③ 後日、出生届が郵送で届く
筆者はホノルル領事館に郵送後、1週間以内に書類が届きました。
② 赤ちゃんの名前を決めておく
出産前に、赤ちゃんの名前を決めておきます。
アメリカでは産後の病院内で出生届を提出します。そこで、名前を決めなければいけません。
英語表記名とミドルネームをつけるか決めておきましょう。

アメリカでも呼びやすい名前をつけたくて、下記サイトを参考に英語表記名をつけました。
アメリカの名前ランキングだけでなく、名前の候補を入力すると、名前の語源や込められている意味、ここ数年でその名前がどれくらい名付けられているかなど確認できて頼りになりました。
アメリカで産後に必要な手続き
手続きの流れは、以下の通りです。
以下は上から順に進める必要あり。
① 産後、病院でアメリカの出生届を提出。その際、SSNを取得にチェック
② 帰宅後、アメリカの出生証明書(Birth Certificate)を申請<急ぐ!>
③ ②が届いたら、日本の出生届を記入してホノルル領事館へ郵送<3ヶ月以内>
④ 2〜3ヶ月後に日本に戸籍が登録されたら、戸籍を取り寄せ、ホノルル領事館に日本のパスポートを申請
以下はできるところから進めてOK。
⑤ 日本とアメリカの保険にそれぞれ加入(加入期限は保険会社によって異なるので注意)
⑥ アメリカのパスポートを申請(いつでも良いが約3ヶ月かかることもあるため注意)
⑦ 日本の出産育児一時金を申請(希望するなら)
注意したいのは、アメリカの出生証明書がないと、日本の出生届やアメリカのパスポートの手続きができないことです。①〜④は順に、進める必要があります。
1つずつ解説します。
① 病院でアメリカの出生届を提出
出産後、病院からアメリカの出生届に関する書類を渡されます。翌日までに記入して病室に受け取りに来てくれるので提出します。ここで赤ちゃんの名前も記入しますので、事前に名前は決めておきましょう。
また、出生届にはSSN(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)を希望するかの欄があるのでチェックを入れます。後日、赤ちゃんのSSNが郵送で届きます。
記入内容に誤りがあるといけないので、質問がわからなければ、担当者に確認すると良いです。
② アメリカの出生証明書をウェブ申請
日本に出生届の申請には、アメリカの出生証明書が必要です。
アメリカの出生証明書(バースサーティフィケート)は、ウェブから取り寄せます。
出生証明書は5部まで手数料が一律だったので、筆者は5部を申請。約90日ほどで届きました。
なお、日本の出生届は産まれてから3ヶ月以内に申請が必要なので、このウェブ申請はすぐにしましょう!
③ 日本の出生届を郵送
必要な書類は5種類です。1、2はボールペンで記入します。
① 出生届書 2通
② 出生証明書の和訳文 2通 ←バースサーティフィケートを見ながら日本語で記入
③ ハワイ州衛生局発行の出生証明書 ←バースサーティフィケートのこと
④ 日本国籍を持つ父母双方の日本のパスポート
⑤ 日本国籍を持つ父母双方の米国での滞在資格が確認できる書類
実際に記入して、間違え易い箇所は次の通り。
・本籍地は正確に書く(戸籍謄本のコピーが役立ちました)
・捺印は、親指右手で拇印する(出生届書にも書いてあります)
・生年月日は和暦で書く欄と西暦で書く欄があるので、記入ミスに注意
・電話で確認したところ、ミドルネームをつけない場合は、出生証明書の和訳文の下部「申し出事項」は記入しなくて良いとのこと
・バースサーティフィケートを返送してほしい場合は、返送用封筒を同封する
ホノルル領事館からは、出生届が受理され戸籍に登録されるには1ヶ月半〜2ヶ月ほどかかると言われました。また、登録されても日本の本籍地のある役所や領事館からは、連絡はないとのことでした。
④ 日本のパスポートを申請
日本のパスポート申請には、赤ちゃんの戸籍謄本が必要です。戸籍の登録は前述の通り、出生届が受理されてから1ヶ月半〜2ヶ月ほどかかります。
ちなみに、ホノルル領事館へ確認したら、次のように説明いただきました。
・日本のパスポートが申請できるのは戸籍に登録された後(戸籍謄本が必要だから)
・戸籍に登録されても、日本の本籍地のある役所やホノルル領事館から連絡はない
ですので、筆者は出生届を提出してから2ヶ月後に、本籍地のある役所へメールして、戸籍を取り寄せました。
戸籍の取り寄せは、親の本籍地のある役所に依頼します。
・委任状を書いて日本国内に住んでいる代理人に本籍地の役所まで取りに行ってもらう
・もしくは、直接郵送で取り寄せる
筆者は渋谷区が本籍地で、メールで直接郵送を依頼したら、すぐに手続きが進められたので助かりました。本籍地の場所によっては、直接郵送をしていないこともあるかもしれませんので、各役所のHPをみてください。
戸籍が手元に届いたら、ホノルル領事館へパスポートの申請をします。
方法は3通りです。
方法① ウェブで申請書を記入しホノルル領事館へ郵送。書類に問題がなければパスポートができあがるので、赤ちゃんを連れてホノルル領事館までを受け取りにいく。
方法② 午前10時までにホノルル領事館へ行き書類を提出。その日中にパスポートができあがるので、赤ちゃんを連れてホノルル領事館まで受け取りに行く。
方法③ オワフ島在住ではない場合は、他の島への出張サービスの日にパスポートを受け取ることが可能。事前に書類を提出し、出張サービスの日に受け取る。
※ホノルル領事館へ電話で確認した情報です。最新情報はHPか電話で確認ください。
(2022/9時点では、HPで上記の記載を見つけられませんでした)
筆者はオワフ島に住んではいなかったのと、出張サービスの日が近かったので、方法3で手続きしました。方法3の場合、方法1・2では必要ない書類も準備が必要だったので、必ず電話で確認した方が良いです。
また、自分で書類を印刷する場合、書類下部の「+」が切れないよう印刷してくださいと言われました。少しくらい切れていても大丈夫だろうと思ったら、再提出になりました。普通に印刷すると切れてしまうので電話で相談したら、やや縮小して印刷OKとのことです。
⑤ 日本とアメリカの保険に加入
赤ちゃんが保険に加入できる期限は、保険会社によって異なるので事前に確認しましょう。
筆者が加入しているハワイの保険 HMSA は、生後31日以内に手続きが必要でした。
また、夫が駐在員でなので、赤ちゃんも日本の社会保険に加入したかったのですが、提出書類を揃えるのが難しかったので断念しました。一時帰国中は、日本の入国手続きシステム Visit Japan Web でも紹介されている一時保険に夫が加入して、赤ちゃんの保険をカバーしました。
⑥ アメリカのパスポートを申請
バースサーティフィケートが届いたらすぐ申請できます。
大まかな流れは以下の通り。
① 米国国務省HPでパスポート申込書を記入
② 申込書と身分証などの各資料を印刷
③ 顔写真をお店または自宅で撮影
④ 郵便局やパスポートセンターなどで申込書・各資料・顔写真を提出
⑤ パスポートが届くのを待つ
実際に申請して、間違えやすい箇所は次の通り。
① パスポートは通常7〜10週、追加料金を支払えば4〜6週で届く。ただし、2020年の駐在員ブログをいくつか見ると、コロナ化で遅延しており急ぎ便を推奨とのこと。
[2022/10/15追記] ハワイ州在住で速達料金(Expedited Processing)$60を支払ったら、12日で届きました(提出日:2022/9/27、パスポート配達日:2022/10/8)。送り主はホノルル・パスポートセンターで、バースサーティフィケートも返送されました。現在、ホノルルパスポートセンターは混雑していない模様。
② パスポート申請書の親の苗字は、生まれたときの苗字で書く。
筆者は結婚して苗字が変わったので、旧姓で書く必要がありました
③ 顔写真は、撮影サービスのある郵便局などに頼むと、その場で写真ができて書類提出まで完了したので便利だった。
筆者は自宅で赤ちゃんを撮影したが、背景が少し青みがかっていて受付でNGに。郵便局で取り直した。
④ 国務省サイトでは顔写真について新生児は完全に目があいていなくても良い。
赤ちゃんが寝ていて目が瞑ったまま撮られていましたが、無事にパスポートが届きました。ただ、日本のパスポート用には目が瞑ったままだとNGの恐れがあったので別で取り直すはめに…。
⑤ 国務省サイトでは顔写真について服装の色の規定はない。
ただ、服装は白を避けましょう。赤ちゃんに白の服を着せていったら、背景と同色になってしまうため、別の服か、よだれ掛けがないか聞かれました。持っていなかったので、抱っこ紐を上半身に被せて代用することに…。
▶︎ 米国国務省>顔写真の規定

申請書の記入はこちらのブログ記事が参考になりました!
⑦ 日本の出産育児一時金を申請(希望するなら)
日本には、出産して申請したら受け取れる出産育児一時金という補助金があります。
ではアメリカで出産した場合、この出産育児一時金は受け取れるのでしょうか?
結論としては、日本の社会保険もしくは国民健康保険に加入していれば、受け取れます。
夫は駐在員で、日本の社会保険に加入しているため、出産一時金を申請できました。
[2022/10/25追記]出産してから3ヶ月ほどで出産一時金の約40万円が振り込まれました。アメリカは物価が高騰しているので助かります。
▶︎ 全国健康保険協会>出産育児一時金>海外で出産した場合も、日本の出産育児一時金は申請できますか?

出産育児一時金を受け取れるかどうかは、こちらのブログ記事が参考になりました!
まとめ:必要な手続き一覧と流れ
このブログ記事では、体験を元にアメリカと日本で必要な手続きについてまとめました。
要点は次の通り。
必要な手続き一覧
1. アメリカ・日本
1-1. 出生届の提出
1-2. パスポートの取得
1-3. 保険加入
2. アメリカだけ
2-1. SSN取得
2-2. 出生証明書(Birth Certificate)の取り寄せ
3. 日本だけ
3-1. 出産育児一時金の申請 *希望者
手続きの流れ
以下は上から順に進める必要あり。
①産後、病院でアメリカの出生届を提出。その際、SSNを取得にチェック
②帰宅後、アメリカの出生証明書(Birth Certificate)を申請
③ ②が届いたら、日本の出生届を記入してホノルル領事館へ郵送
④2〜3ヶ月後に日本に戸籍が登録されたら、戸籍を取り寄せ、ホノルル領事館に日本のパスポートを申請
以下はできるところから進めてOK。
⑤日本とアメリカの保険にそれぞれ加入(加入期限は保険会社によって異なるので注意)
⑥アメリカのパスポートを申請(いつでも良いが約3ヶ月かかることもあるため注意)
⑦日本の出産育児一時金を申請(希望するなら)
筆者のときは、手続きについてやるべきことを整理して、全体スケジュールを確認するのに、苦労しました。このブログ記事が、ハワイで出産される方のお役に立てれば幸いです。
参考情報一覧
日本手続き
アメリカ手続き
ブログ記事
▶︎ 【ハワイ島】出産費用の総額は?保険あり・なしの費用は?金額も公開